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「GRIT」やり抜く力を育てよう

  • 園長コラム
  • Vol.49
 2020年に引き続き2021年も新型コロナウイルスに悩まされる日々が続いています。昨年の今頃は、来年には落ち着いた生活が戻ってくるだろうと高を括っていました。
 こんな今だからこそ、子どもたちにはどんな困難にも負けずに力強く歩んでいってほしいと誰もが願っているのではないでしょうか?そのためには、「GRIT」がキーポイントの一つだと思っています。日本語ではやり抜く力と紹介されていますが、GRITとは、「Guts(度胸)」「Resilience(復元力)」「Initiative(自発性)」「Tenacity(執念)」の頭文字です。これらを育てることで、「熱意を持って粘り強く目標を達成できる人」になることをめざすのですが、さあこの力、どう育てるべきでしょうか?昔々の育て方であれば、私はアニメ「巨人の星」が頭に浮かびます。体に大リーグボール養成ギプスを付け、とにかく鍛え抜く!主人公は全く野球を楽しまず、鍛錬のみ!しかし、どうでしょう、大リーグで活躍する大谷選手は真逆。野球をこよなく楽しんでいるではないですか。きっと星一徹ならその姿を見て激怒することでしょう。さらに印象的だったのが、今年の夏に開催されたオリンピックで金メダルを獲得した選手の言葉です。今何がしたいですか?の問いに「長らくスケートボードに乗っていないから早くスケートボードに乗りたい!」と答えていました。まさしく「大好き!」という思いが、メダリストや一流選手の道へと導いていると強く感じました。
 
 やり抜く力を育むために、本園ではとにかく豊富な体験を用意しています。そして、自発性・発見力を高める環境や活動プログラムも重要と考えています。園庭で植物や昆虫と出会い、その不思議さにのめり込む子ども。本棚から取り出した一冊の本から動物や恐竜に夢中になる子ども。体を動かして、自由にダンス!踊ることに魅了されて本格的にダンスやバレエを始める子ども。そんな、ありのままに大好きをさらけ出し、イキイキとした子どもたちの姿を見てきました。その子どもたちの目の輝きは別格です。
 私は、幼い子ども時代にさまざまな体験をするなかで、自分の「大好き!」を探して欲しいと願っています。一つ大好きなことが見つかれば自ずと興味が深まり、どんどんのめり込んで行きます。さらには、自分で目標を持って行動する自発性さえ自然に芽生えてきます。「GRIT」を育むための4つの要素「興味」「練習」「目的」「希望」が重要です。そして、周囲の大人は、少し難しい課題を子どもたちに与え、成功体験をどんどん積ませてあげてほしいと思います。決してできなかったことや、目標を達成できなかった結果を叱るのではなく、努力した過程を認め、褒めてあげてください。そうすることで、失敗を恐れずチャレンジする意欲も育つことでしょう。

 今を生きる子どもたちは、刺激的なものに魅了はされるのですが、本当に自分が興味のある「大好き」を見つける作業をしていません。存分に大好きなことに没頭し、時間を忘れて夢中になる、そんな時間を子ども時代に味わい、生きている喜びや楽しい!と心が動く自分を感じてほしいと思います。それこそがこの困難な時代を生きる将来の糧となるのです。
 大人になるといつしか忘れてしまうパッション!!生涯、情熱的に好奇心旺盛に、粘り強く学び続ける、そんな大人になるために子ども時代の過ごし方を大切にしたいものです。

参考:『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』
   アンジェラ・ダックワース 著、神崎朗子 訳(ダイヤモンド社)

帝塚山学院幼稚園では未就園児の皆さまに
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