絵本から多くの贈りもの
- 園長コラム
- Vol.48
2010年初版の帝塚山学院幼稚園が選ぶ子どもたちに贈りたい物語を集めた「絵本の扉」を2021年5月にリニューアルしました。是非読んでほしいと思う絵本を年齢別に選書し、約100冊をまとめています。この「絵本の扉」は単に絵本を並べているだけではなく、読んだ後のお楽しみとして、スクラッチを削るとその本に関連するイラストが出てくるページを作っています。また、自分のお気に入り絵本コーナーを作成するページ、100冊には入り切らなかったけれど、とても魅力的だと思う絵本をQRコード※で紹介するなど、より内容を充実させたものに仕上がっています。
選書に関しては、協力してくださっているブッククラブロッタさんとともに、一過性の人気ではなく何年も読み続けられている絵本、言い換えれば、時間のふるいにしっかりとかけられたものを選ぶようにしています。さらに、心の奥に響くような静かな感動を与える芸術的な作品であることや本の質感やストーリー、それを語る考え抜かれた言葉、そして絵。それらすべてが本物であることを大切にしています。 その結果でしょうか。本園では初版が発行される10年以上前から絵本の読み聞かせを大切にしてきましたが、「絵本の扉」が発行されてから子どもたちの絵本に対する関心度は遥かに高くなり、読書量がとても多くなりました。毎日の読み聞かせに加え、毎日絵本を借りて帰ることで、多い子は年間で軽く400冊を超える絵本を読むことになります。本園の年長組の子どもたちは読書量と比例して読解力も高く、物語全体の要旨をきちんと掴む力が自然に育まれています。さらに保護者の皆様からは、「小学生になり学習の場面で何よりも高い国語力が学力を支えてくれている。」「中学受験においてもこの読書の習慣・読む力が結果をもたらしてくれた。」とたくさんの喜びの感想をいただいています。
だからといって、子どもたちに無理矢理絵本を読みなさいと言っても、はじめから楽しむことは難しいことでしょう。幼い子どもたちにとって、絵本と関わる時間は心地よい時間であることが大切です。誰と読むのか、誰に読んでもらうのか?そう、大好きな人に抱っこされながら読んでもらう、そんな時間を通して子どもたちは絵本を好きになるのではないでしょうか。子どもたちが大人になって、思い出の1冊の絵本を手にしたとき、その物語とともに感じたぬくもりや優しい声、もらった愛情を思い出すことができたなら、きっとその子たちは自分自身が幸せだと思える生き方をしていることでしょう。絵本を通して物語だけではない多くのものを子どもたちに贈ってあげてください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
帝塚山学院幼稚園では未就園児の皆さまに
本園の教育を体験していただけるイベントを開催しています。
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